中国語検定試験の受験者はいったい誰なのか?その謎に迫る

 

一般社団法人日本中国語検定協会が主催する中国語検定試験。

HSKとは異なり「日本人による日本人のための中国語試験」として知られています。

「リスニングの音源が2度聞ける」といった日本人配慮があり、日本の中学習者は取り組みやすい試験です。

 

わたし自身、中国語学習の効果を図るために日頃からお世話になっているこのテスト。

いったい受験者はどれくらいいるのでしょうか?

その内訳について気になりましたので調べたところ、こちらの公式情報にたどりつきました。

過去14回分(4年半)にもおよぶ受験者データが公開されていたのです(第104〜91回)。

こちらの公式情報を元に、今回は「中国語検定の受験者数」の謎に迫りました。

 

誰が中国語検定を受けているのか?

まず気になったのが受験者像です。

わたしの知り合いに中国語学習コミットしている人はおりませんので、中検の受験者の実態が気になりました。

公式データには、級数、各回毎の受験者数だけではなく「職業別データ」も記載されていました。

職業データは

  • 有職者
  • 学生
  • 高校生以下
  • その他

の4分類です。

こちらは、申し込む時に「職業」の欄で設定する項目です。

申し込み時は、

  • 勤務
  • 学生
  • 高校生以下
  • その他

の4項目ですが、ここで「勤務」を選ぶと「有職者」として分類されるようです。

「その他」はわかりづらいですが、おそらく「働いてもいないし学生でもない受験者」でしょう。

つまりは、

主婦、老人、浪人、求職者、トレーニング中のもの

が含まれると思われます。

 

前置きが長くなりましたが、過去14回のデータを分析したところ次の結果になりました。

はい、きました、

学生が最も多いのです。

 

数値でいうと「47.9%」が学生を占め、高校生以下も合わせると「58.8%」、つまりは

過半数が高校生・大学生だったのです!!

仮に高校生を15~18歳、大学生を18歳~24歳としてみましょう。

すると、中検の受験者は「15~24歳」という圧倒的に若いものたち、つまりは「次世代を担う者たち」が受験していたのです。

てっきり、わたしのような熟年層ばかりが趣味で受験していると思っていましたので、この結果には驚きを隠せません。

 

中国語検定のどの級が人気なのか?

続いて、級別データを紐解きましょう。

何級が最も人気なのでしょうか?

 

次の分析結果になりました。

ズバリ、

3級がトップで29.4%。全体の3割弱を占めます。

 

その下の4級、準4級も構成割合が多く、

3~準4級の割合は「79.2%」です。

つまりは、

8割弱が3級~準4級の受験者だったのです!!

 

2級になると、受験者数は激減(全体の10%)。

さらに準1級では「5%弱」まで落ち込みます。

1級は年1回しか開催されないこともあり、挑戦者は霞むほど少ないのが現状で、毎年200~300人しか受験していません。

 

 

過去4年半の受験者数の推移

さて、ここまで過去14回分の受験者を一括で見てきました。

ここからは時間にともなう受験者数の変化をみていきます。

一体、中国語検定の受験者数はいかように推移しているのでしょうか?

公平を期すため、年1回の1級はカウントしないことにしました。

 

全体の推移

まずは全体の推移からです。

全受験者数(有職者、学生、高校生以下、その他)の推移は次のグラフに。

もうお気づきの方もいると思うのですが、注目すべきは次の2点です。

 

3回に1度の山トレンド

まずグラフに山ができています。

  • 93回
  • 96回
  • 99回

で受験者数がぐっと増えています。

何を隠そう、これらは全て「11月の試験」です。

11月の秋試験では1級も開催されます。

 

しかし、1級は省いてカウントしているにもかかわらず、秋試験の受験者数は多いではありませんか。

仮説としては、

  • 「学問の秋」で学習モチベーションが上がっている
  • 1級とセットで受験者が増える
  • 来シーズンに向けて中国語の資格をとろうとする人が増える

が考えられます。

 

100回目の激減

もう1つ注目すべきは、記念大会「第100回目」の受験者数の激減です。

 

なんと、99回目と比べて「半減のダメージ」を負っています。

一体100回目に何があったのでしょうか。

日程を確認したところ、第100回目は2020年6月28日。

その1つ前が2019年11月24日でした。

 

つまり、第100回目の記念大会は「コロナ拡散後初テスト」だったのです。

間にあるはずの「3月試験」は中止でしたから、中止後初テストが100回目でした。

なるほど。

あの当時は誰しもが探り探りでコロナと向き合っていた時期でございますから、受験を控える方も多かったでしょう。

 

コロナショックの100回目以降、徐々に勢いを戻しつつあるものの減少傾向。

特に顕著なのは、

秋の受験者数の減少です。

 

101回目と104回目が11月の秋試験です。

が、しかし、かつてほどのキレがない。。

受験者数が伸び悩んでいるとうかがえます。

 

仮説は、

  • 中国にそもそも行けなくなったので中国語学習者数が減った
  • 秋学期の単位認定として検定を活用する学校が減った

という可能性があります。

 

職業毎の推移

これだけでは、データの裏側にある真実が見えてきません。

そこで「職業ごと」に推移を確認しました。

その結果がこちらのグラフです。

はい、来ました。

まず驚きを隠せないのが「学生の受験者の変動」です。

 

そうです。

秋のピークを作っていたのは「学生」だったのです。

「有職者」「高校生以下」「その他」も秋の山を作っていましたが、学生ほど貢献していません。

 

もしかしたら、秋試験の伸びの正体は、

授業の単位認定の条件として検定合格が用いられていたから

なのかもしれません。

 

コロナ後、学生の山が消失したことは、

授業で単位認定として検定を用いる学校が減った可能性もあります。

「学生の山」がなくなったこともあり、コロナ後は全体でも受験者数の減少傾向にあります。

 

加えて注目すべきは、高校生以下の「スーパーヤング層」の動きです。

コロナ後の推移で「有職者」「その他」勢は緩やかに減少しています。

が、しかし、唯一、「高校生以下」は逆の動きを見せ、

コロナ後の「101回」「102回」で過去最高の受験者数を記録しています。

 

コロナ拡散をきっかけに、親御さんの間で中国語学習への関心が高まったのでしょうか。

もしくは、授業の一貫で、中検を受験させている学校がアグレッシブ説が浮上。

若年層の教育機関は熱心すぎ、コロナだろうがなんだろうが、受験を控えないのかもしれません。

 

級数毎の推移

次は、各級ごとの受験者数の推移です。

高級「準1級~2級」の受験者はコロナの影響を受けていません。

ほぼ横ばい、若干減少傾向にあるぐらいではありませんか。

 

最も、コロナの影響を受けたのは「準4級」です。

コロナ後初開催となった第100回目ではくそ激減。

元々少なかった2級の受験者と同じ数に成り下がりました。

 

ここまでのデータを加味すれば、

準4級を授業の単位取得の条件としている大学が減った可能性が考えられます。

3~4級も同じ減少傾向にありますが、準4級が最も下落した理由は、

入門レベルの中国語コースのティーチャーが受験を控える決断をしたのではないか、ということです。

「まぁ、入門レベルなら検定受けなくてもいいか」

と。

 

はい、最後にまとめます。

基礎レベル(3~準4級)合格を単位取得条件としていた授業が自粛し、コロナ後に学生の受験者が減った可能性があります。

その一方、高レベルの学習者のモチベーションは落ちていません。

1級の推移も確認しましたが、コロナで1回くぼんだものの、ほぼ横這いで推移していました。

中国に行く夢を捨てていない、中国で立身出世する野望を持ち続けていることがうかがえます。

これは、コロナ後の中国語学習界における一筋の希望の光です。

単に受験控えしていたのは「単位のために嫌々受験していた学生」だったのです。

 

はい、以上です。

最後に全体をまとめます。

  • 中検の受験者は「学生および高校生以下」が6割を占める若いテスト
  • 3~準4級の基礎レベルが人気(全体の8割)
  • 秋試験で受験者数が増えるトレンドがあり(コロナ前まで)
  • コロナ後は受験者数が減少傾向にある(秋の増加トレンドの消失)
  • コロナ後に学生の受験者数は激減する一方、高校校生以下は伸び、高レベルの受験者は横ばい

軽い気持ちで分析し始めましたが、想像以上にディープ。

中検に対して、いや、中国語学習業界に対して新しい視点を獲得できました。

まだまだ腐らず、中国語の学習を継続していきましょう。

 

それでは!

Ken