2019年6月から12月まで、深圳大学に留学し、中国語コースで中国語を勉強してきました。
深圳大学には、
- 入門A・B
- 初級A・B
- 中級A・B
- 高級A・B
の8種類コースが用意されていますが、僕が配属されたのが下から3番目の「初級A」でした。
今回はこの中国語コースで初級Aの概要と、実際に一学期授業を受けてみた感想を書いておきます。

深圳大学の中国語コース初級Aの概要
大体こんな感じですね。
授業料はいくら?
まず授業料は一学期8800元です。
これはどのレベルも一緒なので、しっかり自分に合ったレベルで一学期学ぶといいでしょうね。
初級Aのレベルは?
この中国語コース、初級Aのレベルは学習時間が
600時間
が目安のようです。
中国語を勉強し始めて1年ぐらいのレベルがちょうどいいかもしれません。
ピンイン、漢字の書き方、発音の練習などは行わず、これらの基礎事項をわかっている前提で授業が進行していきますからね。
全くのゼロレベルというより、ある程度中国語の基礎ができている方にオススメのコースです。
留学前の僕の中国語レベル
それじゃあ、このコースを受けてきた僕の中国語レベルはどうだったのでしょうか?
実は、僕が中国語を初めて学んだのは高校3年生の時の選択科目。
一年間、週一回、一時間の授業を受けて、最終的に学期末テストの代わりに受けた「中国語検定準4級」に合格した経歴があります。
そして、大学に進学んでから、第二外国語で中国語を選び、週1回90分の授業を2年間受けていた経歴もありますね。
しかし、大学を卒業してから、アメリカ留学へ行った時、己の中国語能力の低さが露呈。
中国・台湾の学生に「自分が中国語を習っていた」と話したら、
「じゃあお前なんか喋ってみろ」
と言われ、出てきた言葉が
自行车
の1単語(中国語で自転車を意味する)。
しかも、台湾の学生には「自行车」が伝わらず。。
どうやら、台湾では「自行车」ではなく「脚踏车」を使うみたいなんです。
実質、3年間中国語を学んだはずなのに、何も役に立たない中国語のレベルだったんですね。
その後、なぜかアメリカ留学で台湾・中国勢の刺激を受けたためか、中華系文化に興味を持ち台湾に1ヶ月サマースクールで短期留学。
その1年後には中国の山東省に1ヶ月サマースクールで中国語を学んできました。
中国語圏で2ヶ月、サマースクールで留学してきましたが、やはり現地に行った2ヶ月のサマースクールの方が、3年間日本で中国語を学ぶより効果があったのでしょう。
中国語の発音、文法の超基礎事項はマスターできたのです。
しかし、中国語を喋れるレベルには至らず、とてもじゃないですが、中国語をしゃべる勇気はありませんでした。
このように、僕の場合、複雑な中国語学習歴を持っていますので、
「何年目中国語を勉強してきましたか」
と聞かれてもよく分からず、とりあえず「2年」と答えるようにしています。
さて。
そんな僕が深セン大学に留学する前に日本で受けた中国語のテストは実に悲惨でした。
HSK4級を受けたら惨敗。
下位20~30パーセントに入る有様で、全く何を言っているかわからず、ボロボロの状態で不合格。

ただ、その後に受けた中国語検定4級は、ちょうどいいレベルだったので合格。
このようなレベルでしたが、結果的に中国語コース「初級A」で勉強できてよかったです。
さすが深圳大学のコース配属テストの精度というべきなのか、僕にとっては本当にちょうどいいレベルのクラスでした。
授業の種類
そして、この初級Aには3種類の授業が用意されています。
- 综合
- 听力
- 口语
「综合」では、総合的に中国語能力を高める目的の授業。
テキストを使って文章を読解したり、新しい語彙を覚えたり・・・など日本で行われている中国語の授業のようなものですね。
「听力」はその通り、リスニング力を鍛えるための授業。
音声を聞いて問いに答えながら、中国語の耳を習得していくコース。
そして最後の「口语」は文字通り、スピーキングを中心とした授業。
老师の質問に答えたり、クラスメートとロールプレーをしたり、何かと発言が多い授業です。
このようにリーディング・リスニング・スピーキング、そして時々ライティングの課題も出るので、
中国語の4技能をバランスよく習得できるのが初級Aコースのよさでもあります。
「直接法」での授業
そして、これらの授業は全て中国語でおこなわれます。
言語学業界では「直接法」と呼ばれる指導方法で、
習得を目的とする言語で授業をするタイプの講義のこと
を指しますね。

つまり、老师は中国語で授業しますし、学生も中国語以外は話すことを禁じられています。
中国語があまりにもわからないと、本当に意味不明のまま授業が終わってしまうんです。
僕自身、留学当初は全く老师の言ってることがわからず、授業の吸収率がめちゃくちゃ低かったです。
左耳から入ってそのまま右耳から抜けていってしまって、よく分かりませんでした。
しかし、やはり人生すべて慣れです。
授業開始から2ヶ月ほど経ったぐらいで、徐々に耳が慣れてきたためか、老师の言っていることがわかるようになってきたのです。
中国語のリスニング力が心配な方でもどうにかになりますのでご安心ください。
使う教科書
そして、この初級Aで使うのは次の2つのテキストです。
- 成功之路(顺利扁)
- HSK标准教程3
『成功之路』は综合・听力で、『HSK标准教程3』は口语で使っていきます。
これらのテキストは日本のAmazonで頑張れば購入できるので、授業のレベルを確認したい方は買ってみるのもいいかもしれませんね。
時間割はどんな感じ?
そしてこれら3科目が次の日程で組まれています。
時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
---|---|---|---|---|---|
8:30~9:10 | 口语 | 综合 | 综合 | 口语 | 口语 |
9:20~10:00 | 口语 | 综合 | 综合 | 口语 | 口语 |
10:20~11:00 | 综合 | 听力 | 口语 | 听力 | 综合 |
11:10~11:50 | 综合 | 听力 | 口语 | 听力 | 综合 |
なんと、1日あたり160分授業の3時間弱。
これが月曜日から金曜日までの週5日あるので、なかなかのスパルタで中国語を勉強していきます。
宿題は割と出る
そして、結構宿題が出ます。
テキストに付属されている練習問題や、単語テストが主な内容ですね。
一番ヘビーだったのが単語テストの「听写」。
いわゆる「ディクテーション」で、先生が読み上げた単語を実際に書いて、ちゃんと覚えているか確かめるテストですね。
えぐかったのが、単語の漢字だけではなく、読み方のピンイン(しかも声調記号まで)を書かされること。
僕はディクテーションのテストをするまで、ピンインのルールをいい加減に覚えていたので、一度整理せねばならないほどでした。
また、日本人にとって良かったのが、
日本語と中国語の漢字の違いを認識できる点です。
中国語の漢字で日本の漢字にあるものは、
「あー知ってる知ってる」
と油断することありますよね?
しかし、細かいところで中国語の漢字とは異なっているがあったりして、気づかぬ間にミスを犯していることもしばしば。
このような微妙な中国と日本の漢字の微妙な差異に気付けたのは収穫でした。
それから、「成功之路」の文法ドリルの課題でも知識をアウトプットできて、文法のルールが身につきやすかったです。

これらの鬼のような宿題をこなしていけば、必ずや中国語のレベルは向上するでしょう。
テキスはほぼすべておわり
驚きだっただったのが、授業の進行スピード。
購入したテキストをほぼ9割すべて終わったことです。
まさか、購入した結構ボリュームのあるテキストを一学期でやりきるとは思わなかったので、授業の量・質ともに大満足。
『成功之路』に至っては、2冊のボリュームでしたが、2冊の9割の内容を終えました。
口语でも『HSK标准教程3』も9割方終わっていて、テキストの購入金額が無駄にならなきゃならずすみますね。
日本の大学で受けていた中国語の授業とは圧倒的にスピードが異なるのです。
日本ではテキスト一冊を一学期で終わらせる、なんてことはあり得ませんから。
このスピード感というかボリューム感を通して、中国の教育水準の高さ(スパルタさ)を身をもって体験してきました。
試験もある
そして、試験もあります。
- 期末テスト
- 中間テスト
の2回。「综合」と「听力」はリーディング・聞き取りの問題が中心となりますので、いわば筆記テストが主体。
HSKや中国語検定の問題とだいたい一緒ですね。
しっかり復習しておけば合格点を獲得できるでしょう。
一方、スピーキングの口语は、なかなかに実践的。
与えられたスピーチのお題に関して作文し、それを先生の前で暗唱するテスト。
それから、教科書の文章を読まされるテストもありましたね。
さらにエグかったのが、学期終盤にあった動画撮影プロジェクト。
クラスの中で7~8人ほどの小チームを組まされ、中国語で動画を撮影して編集する課題です。
僕はあろう事か、動画の撮影と編集担当になってしまい、色んな意味で大変でしたね。
できればなかったことにしたい苦い思い出になってしまいましたが、このプロジェクトを通して、中国語を学んでいる学生たちと中国語で会話をする機会が増えて、彼ら・彼女らから実践的な役に立つ中国語の表現を学べた良い機会でした。
クラスの人数は?
それから、クラスの人数についても触れていきましょう。
1クラスあたり割と多くて、
20〜25人ぐらいいる
と思っておけばいいでしょう。

この規模の学生が1教室に詰め込まれていて、はっきり言ってわりと多め、キツめ。
僕が最初に配属されたクラスがかなり人が多すぎて、席がぎゅうぎゅう詰めになってしまったので、移動を迫られるほどでしたから。
このように、1先生あたりの生徒数が多いので、教育効果が薄れてしまうのでは?
と心配されるかもしれません。
僕もそう思っていましたがご安心ください。
学期の中盤あたりから、学生数は減ります笑
特に非アジア圏(韓国・日本以外)の学生の離脱が目立ち、クラス全体の人数は徐々に減っていく行くでしょう。
窮屈だった教室も徐々に広さを取り戻すはずです。
男女比はどれくらい?
男女比も気になるかもしれません。
僕は3つほどクラスを見てきましたが、圧倒的にどれも女性の方が多かったのです。
感覚で言うと、クラスの男女比は6対4〜7対3。
かつて通ったことがある料理教室を彷仏させる男女比でした。
クラス内の学生に女性が多いだけでなく、先生もほぼ全てが女性。
おそらく女性の方が言語習得能力が高く、それに伴い言語学習に対する興味関心を持ちやすいのだと推測します。
日本人はどれくらいいるのか
それから、日本人割合も気になるかもしれません。
僕が入った深圳大学の中国語コースはわりと日本人が多くて、
1クラスに7~8人はいたと思います。
ただ、日本人が多いからといって、嫌な思いをする事はありませんでした。
逆に、日本人の学生は、漢字を知っていることから、中国語の適正能力があり、飲み込みが早いです。
日本人が多いクラスでは、高レベルでハイスピードに授業が進んでいくかもしれません。
日本の学生たちもわりと真面目で、授業中に日本語を喋る人はいませんでしたからご安心ください。
課外授業もある
教室だけでの学びだけでなく、課外授業もありました。
『成功之路』の会話文で、
クラスのみんなで博物館に行った
というストーリーが出てきたんですが、その影響もあってなのか、大学近くの南山博物館に行くアクティビティがありました。

まぁ中国語が難しすぎて、何が展示されているかよくわかりませんでしたけどね。

修了証が貰える
中国語コース初級Aを修了し、無事に合格点を獲得すると、このような修了証をもらえます。

そして、上位の学生には修了証と同時に「優秀学生証」も授与されます。
現在、家宝として実家に保存してあります。
中国語コースでどう変わったのか?
最後にこの初級Aコースを受けて、自分がどう変わったのかを書いておきます。
結論、中国語の初級クラスを受けて良かったです。
今までは最低限の会話すら中国語でできず、中国語は勉強したけど喋れないレベルでした。
ただ、初級Aで4ヶ月勉強することで、今では最低限の中国語の会話できるようになりました。
目の前に中国語しか喋れない人がいても、億さずに中国語でコミュニケーションを取れる自信がついたのです。
これまでの人生で、中途半端に中国語を勉強してきましたが、ようやく中国語が身についたと実感。
中国に来たばかりの時はまったく喋れず、授業でも「中国料理」という単語しか口から言葉が出てこないありさま。
実生活でも大変悲惨で、
「あなたの中国語はわかりません」
と言われたり、
「あああああああー?」
と怖い顔をされることがしばしばのレベルでした。
そして、挙げ句の果てに翻訳アプリにお世話になる、という日々が続いていました・
あまりにも喋れず生活に支障が出てくるほどで焦りを感じて、中国にいるけどオンライン中国語会話のCCレッスンを受けたりしていましたから笑
そんな僕でも進歩を感じ始めたのは、中国に来てから2カ月後の11月頃。
ある日、スピーキングの授業でグループを代表して会話の内容をまとめて発表する機会が与えられて、その時に
わりとスラスラと自分の口から中国語が出てきている
ことにびっくり。自分でも喋れる、と突如自信がついたのです。
それから「声调が気になってしまう病」にかかり、声调にこだわり出してから中国語がネイティブにも伝わる手応えを感じ始めました。
そんなこんなでようやく12月末で1学期目が終わり、エンジンがかかり出した時だったんですが、タイムアップ。
その後は皆さんご存知の通りです。
1月中旬の春節で日本に一時帰国したら、コロナウイルスの影響で中国に戻れなくなり、ずっと一時帰国状態が続いて、今はもう中国に戻る希望を諦めて日本でしばらく暮らすことにしたのです。
進歩を実感し始めて、さあこれからというタイミングで中国留学が終わってしまったのですこぶる残念。
事態が収束して中国に戻れればいいんですが、一時帰国状態が続きすぎて、僕の中国語は再び錆びつき始めました。
日本で中国語をしゃべる機会なんて、まずないですからね笑
ああああああああーーーまた中国に戻りたいですね〜
深圳大学は割とスパルタで、教育効果もあるので興味がある方はぜひ応募してみてください(コロナが収束したら笑)。
それでは!
Ken
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